喀痰吸引の同意書って何のためにあるの?
介護士は基本的に喀痰吸引を行うためには同意書を作成する必要があります。
しかし、なぜ介護士は喀痰吸引を行うために同意書を作成しなくてはならないのでしょうか?
今回はそんな介護施設における喀痰吸引等業務(特定行為業務)についてご紹介します。
喀痰吸引の同意書は何のためにあるのか?
喀痰吸引を行うための同意書が何故必要なのかというと、元々喀痰吸引は医療行為に当たることだからです。
医療行為というのは基本的に医療従事者にあたる看護師や准看護師、医師によって行われます。
介護従事者である介護士が行ってはいけないのです。
そのため、元々は全て喀痰吸引は施設の看護師が行っていました。
しかし、看護師が24時間常駐していない施設で夜間に利用者が痰やツバなどを気管に詰まらせてしまった場合、介護士が対応することができず、死亡してしまったケースが多く見られたため、現在では特定行為業務として講習や研修を受けた介護士であれば喀痰吸引を行えるようになりました。
喀痰吸引の同意書は、その講習・研修をきちんと受けたことに対して実施に同意するという書類なのです。
そのため、喀痰吸引を行う場合はこの同意書が必要となります。
喀痰吸引が行える人材を増やすための取り組みも
喀痰吸引ができる人が増えれば、その分夜間の緊急時もすぐに対応することができ、命を救うことにもつながります。
介護士は実地研修や講習を50時間受けることで喀痰吸引を行うことはできるのですが、介護福祉士の資格を持っていない介護職員に関しても、研修を受けることで喀痰吸引を行うことができます。
さらに喀痰吸引が行える人材を増やすために、介護福祉士養成課程に関して、平成28年1月以降からは喀痰吸引のカリキュラムが増えました。
そのため、介護福祉士の学校に通っている段階で喀痰吸引についての知識や技術を学ぶことができるので、介護福祉士として施設で働いた時にすぐ喀痰吸引の技術を活かすことができます。
また、要介護者の家族である場合、研修を行わなくても喀痰吸引を行うことはできます。
これは犯罪性が低いためです。
ただし、喀痰吸引は意外と技術を要するため、なるべく技術指導を受けていた方が安心と言えるでしょう。
喀痰吸引は命にも関わる重要なもので、詰まってしまうだけでなく高齢者の死亡率が高い肺炎などの感染症を防ぐためにも喀痰吸引ができる人材を増やしていかなくてはなりません。
喀痰吸引が介護士でも当たり前に行える業務になれば、同意書も必要なくなるでしょう。